コラム 出産体験記


私の出産予定日は2005年1月31日でした。
初産の場合は予定日よりも遅れることも多いと聞きますが、私の場合もそうでした。正期産に入ってもなかなか産まれてくる気配がなく、予定日が近づくにつれて段々心配になってきました。

通常は、出産が近づくと赤ちゃんの頭が下がってきたり、子宮口が開いてきたり柔らかくなったりというような兆候があるのですが、私の場合は予定日を過ぎても全くナシ。2月5日の健診では、胎盤の状態が悪くなってきていて、羊水の量も減ってきていることも分かりました。結局翌日から入院して誘導分娩で出産することになりました。

誘導分娩では陣痛促進剤などを使うのですが、ある一定以上のレベル(ビショップスコアが6点以上)に達していないと陣痛促進剤すら使えないそうです。私の場合はなんと0.5点しかなかったので、6点以上に達するためにバルーンを挿入して子宮口を開くという説明がありました。計画出産ということで、2月6日の夕方からバルーンを入れ、7日の朝から陣痛促進剤を使って出産にもっていくことになりました。

人工的に赤ちゃんを出さないといけないと言われてとても不安でした。明日入院だなんて急だし、そんなに胎盤や羊水の状態が悪いのかな、赤ちゃん大丈夫かな、苦しくないかなと心配でした。それに、「8日は必ずご主人もそばについててあげて下さいね」と先生に言われて、そんなに大変な出産になるのかなと不安でした。ただ、信頼できる先生だったのが唯一の救い。「先生を信じて出産に臨もう、主人もずっとついててくれるし、きっと大丈夫」と一生懸命自分に言い聞かせていました。

その日の晩、おりものに混じって少し出血がありました。でも、ほんの少しだったので「内診してもらったからだろうな」としか思わず床につきました。

午前5時頃、何だか腰が重いような感じがして目が覚めました。すると、ニュルっとしたような感触があり、あわててトイレへ。
出血していました。あきらかにおりものにしては量が多いし、これは破水かおしるしかもしれないと思い、隣で寝ていた主人を起こしました。
破水だったらすぐに病院に行かなくてはなりませんが、自分では判断がつかないのでとりあえず病院に電話して聞いてみることにしました。すると、「もしかしたら破水かもしれないので、とりあえず来て下さい」との事。それからあわてて身支度を整え、パンをひとつほおばってから車で病院に向かいました。

病院に到着したのが午前7時頃。どちらにしてもその日の午後に入院する予定だったので、そのまま入院することになりました。それから内診、NSTを行いましたが、残念ながら前日の結果とほぼ変わりなし。また、出血混じりのものは破水の可能性があるから調べてみることになりました。ただ、破水した場合はバルーン挿入ができないらしく、他の方法で出産という形になるかもしれないと言われ、とても不安になりました。
それから部屋に戻り、朝食を食べました。相変わらず出血は続いていましたが、それ以外には特に何の変化もなし。おなかが張ったり陣痛らしき痛みがあったりということも全くありませんでした。

午前11時頃、再びNST、内診を行いましたがやはり変化なし。途中2回ほどおなかの張りと痛みがある程度でした。出血は検査の結果おしるしだったそうです。「これから陣痛が来て自然分娩できれば一番いいんだけど、このまま陣痛が来なければ、当初の予定どおり17時からバルーンを挿入しましょう」と言われました。

その後も不規則におなかの張りや陣痛?と思えるような痛みがあったのですが、15時ごろから10分間隔の痛みになってきました。これはもしかすると陣痛かも…!痛みはまだ軽い生理痛のような感じでした。

15時半頃から再びNSTを行ったのですが、やっぱり陣痛が来ているとの事でした!内診の結果、子宮口はまだあまり開いておらず、「まだこれからでしょうねぇ」と言われました。先生からは「自然陣痛が来てるみたいだから、バルーン挿入はもう少し様子をみましょう。とりあえず22時ごろまで待って、陣痛の進み具合でバルーンを入れるかどうか決めましょう。」と説明がありました。

それから少しずつ陣痛が進み、18時の夕食の頃には5分間隔になっていました。痛みも強くなってきましたが、まだなんとか我慢できる程度。椅子に座って、夕食を半分くらい食べました。生理痛が重いほうなので、まだ余裕があったのかもしれませんね(笑)

20時頃、再度NST、内診を行いました。子宮口は約3cm。バルーン挿入・陣痛促進剤の使用はせずに自然分娩でいけそうだという話がありました。助産師さんに「まだ笑顔がでてるうちは大丈夫。まだまだこれからどんどん陣痛の間隔が短くなって痛みも強くなってくるよ〜」と言われたのをよく覚えています。痛みはかなり強く、腰がとにかく重かったので、「これ以上痛くなるなんて〜!」と思った記憶があります。

助産師さんの言葉どおり、陣痛はいっそう強く、長くなってきました。3〜4分間隔の陣痛。ずっとついてもらっていた主人に汗をふいてもらったり腰をさすってもらったりしていましたが、痛すぎてうっとおしいくらい(主人には申し訳ないのですが…^^;)。腰に手を当ててもらうと少し楽になりました。安心感もあったのかな?横になったり四つんばいになったりしてなんとか痛みをこらえていました。

23時過ぎに再びNSTと診察。子宮口は4cm。「3時間この痛みに耐えて、たった1cmしか開いてなかったんです。思わず主人に「あとどれくらいで産まれる?」と聞いてしまいました。
それから約3分間隔の陣痛が続きました。辛くて辛くて主人の手をぎゅ〜っと握って痛みをこらえていました。気が狂いそうなほどの痛みです。完全に余裕がなくなってしまい、「痛い、痛いよ〜!」を連発していたと思います。

7日午前1時半頃に再びNST。NSTを行っている間は仰向けの姿勢がとても辛くて、必死で主人にしがみついていました。あまりの痛さで過呼吸になってしまい、助産師さんがビニール袋を持ってきてくれました。深呼吸をするように言われますが、痛みがやってくると「フー」と息を吐くのも辛かったです。そのうち段々お尻に力が入るような感じがしてきて、いきみたくてたまらなくなりました。そして午前2時半頃、少し力が入った瞬間にダーっと水のようなものが流れるような感じがしました。今度こそ破水です。その時子宮口は8cmになっていました。それから主人に支えられながらトイレに行き、分娩室に向かいました。

ちょうど同じ頃にもう一人お産が近い妊婦さんが分娩室に入っていました。その妊婦さんも子宮口が8cm開いているとのことで、私と同じくらいの状態。夜中でスタッフの人数が少なかったせいか、分娩室で少し待たされました。分娩台に座って待っている間が一番辛かったです。1〜2分おきにやってくる陣痛。痛くていきみたくて「フーーーーウウウウ」と息を吐くにも力が入るような状態でした。ずっと隣で主人が励ましてくれたので、何とか耐えられたのだと思います。

午前4時頃、子宮口はいよいよ全開(10cm)に!「赤ちゃんの頭も少し見えてますよ」と言われ、あと少し頑張れば赤ちゃんに会える!と思いました。そしていよいよいきむことに。主人も一緒に呼吸法をやってくれていたせいか、途中過呼吸気味になっていました。でもなぜか、陣痛の間隔が3分おきくらいになり、痛みも以前よりも弱くなってしまいました。それでも陣痛がきたらいきむ、そして休む、を繰り返しました。驚いたことに、その時点でもまだ胎動を感じました。きっと赤ちゃんも頑張って出てこようとしてるんだ、私も頑張らなきゃという気持ちになりました。
でも、何度もいきんでるのになかなか出てきてくれず、主人に「出てきてる?あとどのくらい?」と聞いた記憶があります。頭が出るのにこんなに時間がかかるものとは思いませんでした。でも「あと少し!」という主人と助産師さん、先生の声に励まされながら、思いーっきりいきみました。そして頭が出た瞬間、産声が聞こえました!頭が出ると、あとは体や足がつるんと出たような感覚がしました。

「おめでとうございます」という助産師さんや先生の声を聞いて、「ああ、無事に産まれたんだ〜」って思いました。午前5時43分のことでした。それから主人がへその緒を切りました。赤ちゃんは先生から羊水を吸ってもらい、いっそう元気に泣いていました。一生懸命泣いている赤ちゃんを見て、胸がいっぱいになりました。主人も涙を浮かべながら、「よく頑張ったね」とねぎらいの言葉をかけてくれました。
それから赤ちゃんに少しだけお乳を吸わせて、どこかに連れて行かれました(主人によると、赤ちゃんはその後身長、体重などを計測された後、保育器に入れられて新生児室に連れて行かれたそうです)。その間に胎盤が出ました。主人は胎盤もしっかり見たそうですが、大きなレバーの塊のようなものでずっしりしていたそうです。

その後、切開された会陰を縫合してもらったり子宮収縮剤の点滴を受けたりなどの処置を受け、2時間ほど分娩台の上で休みました。休んでいる間、隣の分娩室から赤ちゃんの産声が聞こえました。おとなりの赤ちゃんも無事に産まれたんだな〜と思いながらまた眠ったのを覚えています。

約2時間後、助産師さんに体を拭いてもらい、着替えを済ませた後、車椅子で部屋まで移動しました。自分で思っていた以上にフラフラで、立つのもやっとなのにビックリしました。出産ってこんなに体力を使うものなんですね。部屋に戻ったのがちょうど朝食の時間だったので、ベットに寝たまま主人に朝食を食べさせてもらいました。前日夕食をあまり食べられなくておなかがすいていたのか、出産後とは思えないくらいたくさん食べました(笑)

それから約4時間後にはトイレ歩行。助産師さんに手伝ってもらいながらトイレ(部屋内の)まで歩きました。「あと30分くらいたったら新生児室まで赤ちゃん見に行ってもいいですよ」と言われたので、早速主人と2人で赤ちゃんを見に行きました。足元がフラフラして手すりにつかまりながら新生児室まで歩いたのですが、赤ちゃんを見たら疲れも何もかも吹き飛んでしまいました。産まれてきてくれてありがとう、そんな気持ちでいっぱいになりました。

妊娠してから出産にいたるまでトラブルや心配事もたくさんあったけど、それ以上に私たちに大きな喜びと幸せを与えてくれた赤ちゃん。まだまだ一人前のママとは言えないけど、精一杯の愛情で育てるからね。家族3人、仲良くしようね。

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